アンコール・ワット
東西1.5キロ南北1.3キロ。周囲を環濠に取り囲まれた壮大なヒンディー
寺院遺跡だ。インドでは圧倒的にシバ神が最高の神だが、ここでは
ヴィシュヌ神が祀られている。細かい装飾、繊細な浮き彫りが至るところに
施されているが、全体はすっきりとした直線で構成されたシンメトリー。
中央塔に行くに従い高くなっていき、その全体的な姿は堂々として
美しい。かつては寺院全体が彩色され、圧倒する存在感で明るく輝いて
いた事だろう。
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寺院の前に立った時、その荘厳な美しいたたずまいにしばし見とれてしまった。
  
シュム・リアップからバイタクの後ろにまたがり、両側が大木に覆われる道を抜けると広大な濠が見えてきた。
半周すると、正面入り口のある西濠になる。それは、予想を遥かに越えた大きさだった。

  
寺院の入り口周辺は7つの頭を持つナーガの彫刻で囲まれている。
  
正面、西塔門を抜けた内側壁面には美しいデバダーがずらっと並んでいる。
  
回廊の窓は透かしになっており、遮光、換気、景観を兼ね添えた軽やかな曲線で出来ている。
第一回廊正面中央南よりに立つ高さ4メーターのビシュヌ神
   
壁面外側を覆うデバダーは何種類かのパターンがあるものの、顔の表情は勿論全てが違っている。
  
十字回廊中央部では、柱に残った赤い彩色や柱上部の花びら文様装飾などを見ることができる。
また、18世紀初頭に訪れた森本右近太夫の落書きも歴史的検証物としてそのままにされている。
この辺りの柱には実に繊細で華麗な浮き彫りが施されている。浮き彫りは3段階位に重ねられた様に見え、
薄い所は和紙の一枚程に見える繊細さだ。
  
遺跡内で会った地元の人々。 この女の子は中央塔の一番高い所で遊んでいた。ここで仕事をしているお祖父ちゃんと
いつも登っているらしい。おじいちゃんにしても、この女の子にしても中央塔の急な階段は危険ではないのだろうか・・・
カンボジアでは、人差し指を立てるのは軽い挨拶の意
  
中央塔にはいくつも階段があるが、どれもとても急に作られている。南側の階段には手すりが付いているが、
地元の人達はステップが削れて足の踏み場が危うい西側からでも東側からでも軽々と登っている。
見かけた地元の女性などは細いヒールのサンダルだった。

中央塔から寺院正面の眺め
  
唯一、歯を見せるデバダー。第一回廊、中庭面南寄りにあるが、残念ながら気が付かない人が多い。
  
第一回廊は豪華なレリーフがぐるり取り巻いている。ラーマーヤナの物語やスールヤヴァルマン二世軍の活躍がテーマ。
  
第一回廊の外側南西部にトイレと少女の売店があった。ココナッツは50円程、350ccの缶ジュース
2缶分以上の量が入っているので、なかなか一度では飲みきれない。
  
魔王ラーヴァナは20本の手でシヴァ神を脅かそうとしている。
 
200メーターを越える回廊の眺めは荘厳だ。南側東よりには花模様の天井が残っている。
透かし窓に使われている柱には一本一本に絶妙なバランスで括れが付けられている。
  
力強い神々のレリーフが並ぶ東回廊。
 
彩色が残っているレリーフ
  
暑いため、早朝からスタートするツアーは午後にはすっかり姿を消してしまう。ツアーのスケジュールを訊くと
午後はホテルに戻り休憩となっているそうだ。そうなれば、ガイド率いるグループが騒々しく我が物顔で占拠していた回廊は、
ゆっくり散策できる。僧侶達と古の時間を共有したり、アンコール・アット内のあちこちが贅沢に独り占めできるのだ。
  
回廊の端からみると、その先はもう点になってしまう。
  
午後は、地元の人達が遺跡内でゆっくりとおしゃべりしたりしている。全ての遺跡が地元の人達には無料で開放されている。
  
五人も並んだデバダーは珍しい。 女性は坊さんには触ってはいけない。

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